調査PRのやり方を解説|設計から配信までの手順と費用の目安

調査PRに関するイラスト

調査PRは、自社で集めたアンケートなどのデータをニュースになる切り口に整えてメディアへ届ける広報手法です。新商品や新サービスの発表がない時期でも情報発信できることが最大の強みで、目的設定、調査設計、実施と集計、リリース作成、配信、効果測定の6手順で進めます。

広報に力を入れたくても、ニュースにできる新商品や新規事業が毎月あるわけではありません。リリースの種が尽きて更新が止まり、メディアとの接点も途切れてしまう、という悩みは中小企業で珍しくありません。

一方で、顧客へのアンケートや日々の問い合わせの集計など、社内には「世の中の関心」と結びつく素材が眠っています。この記事では、調査PRの基本から手順、調査リリースの書き方、費用の目安、自社で行うか外注するかの判断基準までを整理します。

この記事でわかること

  • 調査PRと通常のプレスリリースの違い
  • 調査PRを進める6つの手順と配信の考え方
  • 調査リリースに載せる要素と書き方
  • 調査費用の目安と、自社で行うか外注するかの判断基準
  • 信頼を損なわないための注意点

調査PRとは?通常のプレスリリースとの違い

調査PRとは、自社で実施した調査やアンケートの結果を、ニュース性のある情報としてメディアに提供する広報手法です。

調査PRで配信する文書は「調査リリース」と呼ばれ、自社サービスに関連する調査の結果を考察してメディアに公表するプレスリリースです。企業イメージや商品、サービスの認知を広げることを目的とします。

通常のプレスリリースが「自社に起きた出来事」を伝えるのに対し、調査PRは「調査で分かった世の中の実態」を伝えます。この違いを整理すると、次の表のとおりです。

観点 通常のプレスリリース 調査PR(調査リリース)
伝える内容 新商品、新サービス、人事など自社の出来事 調査で分かった生活者や企業の実態
ニュースの種 自社の発表があるときだけ 自社の発表がなくても作れる
準備に必要なもの 発表内容と原稿 調査の設計、実施、集計、考察
記者から見た価値 自社に関する情報 記事で引用できる客観的なデータ
向く場面 発表が決まっているとき 認知や信頼を積み上げたいとき

参照:協同ニュースプレスワイヤ「調査リリースの書き方」(2026年10月時点)

調査PRのメリットは?認知と信頼にどう効くか

調査PRのメリットは、客観的なデータで記事化されやすくなることと、新商品がなくても継続的に発信できることです。

調査PRを続けると、主に次の効果が期待できます。

  • 調査結果という客観的なデータが付くため、広報担当者の主張ではなく事実として記者が扱いやすくなる
  • 自社サービスの発表がない時期でも、新しい切り口で情報を出せる
  • 認知度や信頼性の向上につながり、営業資料や自社サイトのコンテンツとしても使い回せる
  • 調査結果を自社の記事にまとめれば、他サイトから引用されやすい独自データとして残る

ただし、調査をすれば必ず報道されるわけではありません。記者が記事にしたくなる切り口と、データの確かさがそろって初めて効果が出ます。次章以降で、その具体的な進め方を見ていきます。

調査PRのやり方は?6つの手順で進める流れ

調査PRは、目的の設定、調査設計、実施と集計、リリース作成、配信、効果測定の6つの手順で進めます。

  1. 目的とテーマを決める
  2. 調査を設計する
  3. 調査を実施して集計する
  4. 調査リリースを書く
  5. メディアへ配信する
  6. 反応を測定して次に生かす

手順1:目的とテーマを決める

最初に決めるのは、調査で何を達成したいかです。認知を広げたいのか、特定のサービスの必要性を示したいのかで、聞くべき内容が変わります。テーマは自社の事業と接点があり、かつ生活者や業界の関心が高いものを選びます。

手順2:調査を設計する

誰に何人聞くか、どの設問で聞くか、調査期間をいつにするかを決めます。結果が出てから切り口を探すのではなく、「こういう結果が出たら記事にできる」という仮説を先に立てておくと、設問のぶれが減ります。

手順3:調査を実施して集計する

実施後は単純集計に加えて、年代や職業などの属性別にも集計します。属性ごとの差から、記者が記事にしやすい「意外な結果」が見つかることがあります。数字の転記ミスは信頼を大きく損なうため、集計値は必ず複数人で確認します。

手順4:調査リリースを書く

調査リリースの構成は次章で詳しく説明します。調査の概要を正確に書き、グラフなどで結果を見やすく整理することが基本です。

手順5:メディアへ配信する

配信方法は、メディアへ直接送る方法と、配信サービスを使う方法があります。配信タイミングは、平日の日中が多いとされ、月曜から木曜の午前中が推奨される例もあります。商品の発売前後やリニューアル、季節のイベントに合わせると、調査の話題性が高まります。

手順6:反応を測定して次に生かす

配信後は、掲載されたメディアの数、自社サイトの閲覧数、サービス名や会社名での検索数などを確認します。問い合わせが来たときに素早く対応できる体制も整えておきます。取材してくれた記者への丁寧な対応は、次回以降の掲載にもつながります。

参照:アットプレス PR HACK「プレスリリースの配信手順」(2026年10月時点)

関連記事:メディアリレーションとは?中小企業の進め方と記者対応の注意点

調査リリースの書き方は?記事化されやすい構成要素

調査リリースは、タイトルとリード文で結論を示し、調査結果、調査概要、問い合わせ先までを漏れなく載せて書きます。

調査リリースに載せる要素と、書くときのポイントを表にまとめます。

要素 書く内容 ポイント
タイトル 調査で最も注目される結果と調査の背景 30〜50字程度にまとめる
リード文 調査の目的、対象、最大のトピックスを5W1Hで整理 簡潔にして本文を要約する
本文 調査の背景から、結果のトピックス、詳細の順 結論を先に書き、引用データは出典を明記する
調査結果 グラフ、表、記事になりやすい発見 意外な結果を箇条書きで示す
調査対象 性別、年齢、職業、居住地域などの属性 データの信頼性を示す
調査概要 調査期間、対象、サンプル数、方法、調査機関 不十分だと記事化されにくくなる可能性がある
問い合わせ先 担当者の連絡先 2名分を載せておく
会社概要 情報の発信元 信頼性を担保する

調査リリース全体を通じて、直接的な宣伝にならないよう、生活者にとって有益な情報として伝える姿勢が大切です。自社サービスへの誘導は、リリースの末尾や会社概要にとどめるほうが記事に採用されやすくなります。

関連記事:プレスリリースの書き方とは?基本構成と読まれるための注意点

調査PRの費用はいくらかかる?内訳と目安

調査PRの費用は設問数と回答者数で決まり、ネットリサーチの相場は10万〜100万円です。

費用の大半は、調査の設問数と回答者数で決まります。インターネットで実施するネットリサーチ全体の相場と、条件別の料金例は次のとおりです。

調査の条件 費用の目安
ネットリサーチ全体の相場 10万〜100万円
全国の20〜40代男女、20問、1,000人 20万〜40万円
特定の高級車を過去1年以内に購入した人、30問、300人 80万〜150万円

このように、誰でも答えられる条件なら比較的抑えられ、購入経験者などの出現率が低い条件では高くなります。なお、リリースの作成代行や配信サービスの費用は、調査費用とは別にかかるのが一般的です。具体的な金額は各社の見積もりで確認してください。

参照:CREX「アンケート調査の費用相場」(2025年11月時点)

中小企業が調査PRを始めるには?自社データの活かし方

中小企業は、顧客アンケートや問い合わせの集計など、すでに手元にある自社データから調査PRを始めると費用を抑えられます。

大規模なネットリサーチを行わなくても、日々の事業で集まる情報には、世の中の関心と結びつく素材があります。代表的なデータ源を整理します。

データ源 調査の例 注意点
顧客アンケート 利用の理由、困りごとの実態 回答者が自社の顧客に偏ることを明記する
問い合わせ、相談の内容 よくある相談を種類別に集計 個人や会社が特定されない形で集計する
予約、取引、利用の記録 季節や曜日による利用の違い 集計期間と件数を明記する
業界の経営者、担当者への調査 業界の課題や取り組みの実態 対象の範囲と回答数を示す

テーマを選ぶ3つの問い

テーマを決める前に、次の3つに答えられるかを確認します。

  1. 読者や記者にとって、知ると得をする、または意外に感じる内容か
  2. 自社の事業と自然に結びつくか
  3. どのような結果が出ても記事の材料になるか

3つめの「どのような結果が出ても使える」ことが、実務では特に重要です。結果が予想どおりでも、予想と逆でも切り口が作れるテーマなら、調査が空振りに終わるリスクを減らせます。

調査PRの注意点は?信頼を損なわないためのチェック

調査PRの注意点は、データの偏りを隠さないこと、数字を誤らないこと、宣伝色を強くしすぎないことの3つです。

リスク 起きること 対策
回答者の偏り 結果を世の中全体の傾向のように読まれ、後で指摘される 対象者の属性と回答数を明記し、言い切りすぎない
集計や転記のミス 掲載後に訂正が必要になり、信頼を損なう 複数人で数字を確認してから配信する
宣伝色が強い 記者が広告と判断し、記事化されにくい 生活者にとって有益な情報として書く
商品の優位性を示す表示 事実と異なる表示は規制の対象になり得る 表示の根拠となる調査の実施条件を残す

景品表示法は、商品やサービスの品質、内容、価格などを偽って表示することを規制しています。調査結果を自社商品の優位性の根拠として使う場合は、調査の対象や方法が、その表示を裏づけているかを確認してください。

参照:消費者庁「景品表示法」(2026年10月時点)

調査PRは自社で行う?外注する?判断基準

調査PRは、自社実施、調査会社への依頼、PR会社への依頼の3通りから、目的と体制に合わせて選びます。

進め方 向く場面 強み 弱み
自社で実施 顧客アンケートなど手元のデータで始めたいとき 費用を抑えやすく、事業の知見を反映しやすい 設計や集計の専門知識が必要で、社内の工数がかかる
調査会社に依頼 対象者を広く集めたい、データの客観性を高めたいとき 調査設計と実施を任せられる 調査費用がかかり、リリースの切り口は自社で考える必要がある
PR会社、代行会社に依頼 調査からリリース、配信まで一括で任せたいとき 記事化を意識した設計と配信まで任せられる 依頼範囲によって費用が大きく変わる

迷ったときは、まず手元のデータで小さく始め、反応を見てから調査会社や代行会社を検討する順番が現実的です。外注する場合は、調査の設計方法、生データの提供の有無、調査結果をどこまで自由に使えるかを契約前に確認します。

関連記事:プレスリリース代行会社の選び方とは?費用相場と失敗しない基準

よくある質問

調査PRについて、よく検索される疑問に答えます。

Q. 調査PRとは何ですか?

A. 自社で実施した調査の結果を、ニュース性のある情報としてメディアに提供する広報手法です。調査の結果をまとめて配信する文書を調査リリースと呼び、新商品の発表がない時期でも情報発信に使えます。

Q. 調査PRの費用はいくらかかりますか?

A. ネットリサーチを使う場合の相場は10万〜100万円で、設問数と回答者数、対象者の条件によって変わります。顧客アンケートなど手元のデータを使えば、調査費用を抑えて始められます。

Q. 調査リリースはどのタイミングで配信すればよいですか?

A. 商品の発売前後やリニューアル、季節のイベントに合わせるのが効果的とされます。曜日や時間帯は、平日の日中が多く、月曜から木曜の午前中が推奨される例もあります。

Q. 調査リリースのタイトルはどう書けばよいですか?

A. 調査で最も注目される結果と調査の背景を入れ、30〜50字程度にまとめます。リード文は5W1Hを整理して簡潔に書き、本文は結論から述べる構成にします。

Q. 調査PRは自社だけで実施できますか?

A. 実施できます。顧客アンケートや問い合わせの集計など、手元のデータから始める方法があります。対象者を広く集めたい場合や、データの客観性を高めたい場合は調査会社への依頼を検討してください。

まとめ

調査PRは、調査データをニュースの切り口に整えて届けることで、新商品がない時期にも広報を続けられる手法です。

調査の設計やリリースの切り口づくりに迷う場合は、お問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。要点は次のとおりです。

  • 調査PRは、調査結果を客観的なデータとしてメディアに提供する広報手法
  • 進め方は、目的設定、調査設計、実施と集計、リリース作成、配信、効果測定の6手順
  • 調査リリースは、調査概要と対象者の属性を正確に載せることで記事化されやすくなる
  • ネットリサーチの費用の相場は10万〜100万円で、手元のデータなら費用を抑えて始められる
  • データの偏りの明記、数字の確認、宣伝色の抑制で信頼を守る