企業PRの進め方は?目的と手法の選び方を中小企業向けに解説

企業PRに関するイラスト

企業PRとは、自社の考え方や取り組みを社会に伝え、顧客や取引先などとの信頼関係を築く活動です。売上を直接つくる施策ではなく、信頼を積み上げて選ばれやすい状態をつくる取り組みと捉えると、進め方を間違えにくくなります。

中小企業が企業PRに取り組むときは、手法から選ぶのではなく、先に目的と伝える相手を決めることが成否を分けます。プレスリリースもSNSも動画も、目的が曖昧なまま始めると、続かず成果も測れません。

「企業PRを始めたいが、広報や広告と何が違うのか分からない」「何から手を付ければよいのか整理できていない」という相談は、小さな会社ほど多くなります。人手も予算も限られる中で、すべての手法を試すことはできません。

この記事では、企業PRの意味、広報や広告との違い、手法の選び方、進め方、効果の測り方を順に整理します。あわせて、中小企業がつまずきやすい点と、自社で行う範囲と外部に任せる範囲の分け方も扱います。

この記事でわかること

  • 企業PRの意味と、広報・広告・商品PRとの違い
  • 企業PRの対象となるステークホルダーと、相手別の伝え方
  • 企業PRの手法の種類と、目的別の選び方
  • 企業PRの進め方5ステップと、効果の測り方
  • 中小企業がつまずきやすい点と、外部に任せる範囲の決め方

企業PRとは何をする活動か

企業PRとは、自社の理念や取り組みを伝え、顧客や取引先など関係者との信頼関係を築く活動です。

企業PRが目指すのは売上ではなく信頼

PRは「Public Relations」の略で、本来は社会との関係づくりを意味します。企業PRは、商品を売り込むための宣伝とは違い、会社が何を大切にし、どんな取り組みをしているかを伝えて、相手に理解と共感を持ってもらうことが目的です。

発信するだけで終わらない点も特徴です。顧客や取引先から返ってきた意見を事業の改善に反映するところまでを含めて、企業PRと考えられています。

企業PRと商品PRの違い

企業PRは会社そのものの魅力を伝える活動で、商品PRは個別の商品やサービスの魅力を伝える活動です。商品PRは企業PRの一部にあたり、会社への信頼があるほど個別商品も選ばれやすくなります。

参照:Meltwater「企業PRとは?目的や手法、事例をわかりやすく解説」(2026年10月時点)

企業PRと広報・広告・宣伝の違いは何か

広報とPRは実務ではほぼ同じ意味で使われ、広告は掲載枠を買って自社が内容を決める点で異なります。

言葉が混ざりやすいため、まず違いを表で整理します。違いが分かると、どの施策に予算を割くべきかを判断しやすくなります。

比較項目 企業PR・広報 広告・宣伝
記事や表現の決定者 メディアが編集権を持つ(自社は情報を提供する立場) 自社が内容と表現を決める
掲載枠の費用 掲載枠を購入する費用はかからない 掲載枠の費用がかかる
信頼性の傾向 第三者の記事として扱われるため、高くなりやすい 広告と分かるため、PRより低く受け取られやすい
自社による管理 掲載の可否や内容を自社で管理できない 表現、時期、掲載先を自社で選べる
向いている目的 信頼の獲得、認知の土台づくり 商品やサービスの販売促進

広報は費用がかからないと言われますが、正確には掲載枠の購入費がかからないという意味です。プレスリリースの作成、写真や資料の準備、記者対応には人の時間が必要になります。

PRと広告は優劣ではなく役割分担です。知られていない会社が広告だけで販売を急ぐと信頼が追いつかず、反対にPRだけでは即時の問い合わせ増加は見込みにくくなります。

参照:共同通信PRワイヤー「広報とPR、広告・宣伝の違い」(2026年10月時点)

関連記事:PRと広告の違いは?費用・信頼性・使い分けを中小企業向けに整理

企業PRの対象となるステークホルダーはだれか

企業PRの対象は顧客だけでなく、取引先、従業員、金融機関、行政、地域住民まで広がります。

相手が違えば、知りたいことも、届きやすい手段も変わります。全員に同じ内容を発信するのではなく、今回の目的に合う相手を絞ることが大切です。

ステークホルダー 相手が知りたいこと 届きやすい手段の例
顧客・見込み客 どんな会社で、信頼してよいか 自社サイト、SNS、取材記事、事例紹介
取引先・金融機関 事業の安定性と今後の方向性 会社案内、プレスリリース、実績の公開
従業員 会社が目指す方向と自分の役割 社内報、朝礼、社内向けの発信
求職者 働く環境と価値観 採用サイト、社員紹介、SNS
地域住民・行政 地域にどう貢献しているか 地域イベント、地元メディア、自治体との連携

BtoB企業なら取引先や金融機関、BtoC企業なら消費者や地域住民への発信が中心になります。どちらの場合も、社内の従業員は最初の発信先として見落とされがちです。

企業PRの手法にはどんなものがあり、どう選べばよいか

企業PRの手法には、プレスリリース、自社サイト、SNS、動画、イベントなどがあり、目的と対象で選びます。

手法は多くありますが、中小企業が最初から全部を回すのは現実的ではありません。次の表を目安に、目的に合う1〜2種類から始めてください。

手法 向いている目的 必要な体制の目安 注意点
プレスリリース 第三者のメディアを通じた認知と信頼の獲得 担当者1名と、ニュースになる題材 掲載はメディアの判断で、必ず載るとは限らない
自社サイト・オウンドメディア 検索経由での理解促進、実績の蓄積 継続して書ける担当者または外部パートナー 成果が出るまでに時間がかかる
SNS 日常的な接点づくり、意見の収集 日々の投稿と反応への対応 炎上や誤情報への備えが必要
動画 サービスや人柄の伝達 撮影と編集(内製または外注) 制作費と更新の手間
イベント・セミナー 関係者との直接対話 企画と運営の人員 開催後にWebやSNSで発信して効果を伸ばす
取材対応・寄稿 専門性と実績の信頼づくり 日頃のメディア関係づくり 編集権はメディアにある

目的から逆算して手法を選ぶ

取引先や金融機関からの信頼を高めたいなら、プレスリリースと自社サイトでの実績公開が合います。採用を強化したいなら、採用サイトと社員紹介が先です。手法の流行ではなく、相手が情報を探す場所から決めてください。

関連記事:プレスリリース書き方とは?基本構成と読まれるための注意点

企業PRの進め方は?5つのステップ

企業PRは、目的、対象、題材、手法、測定の順に決めると、中小企業でも無理なく進められます。

  1. 目的を一文で決める:「取引先からの信頼を高める」「採用応募を増やす」など、誰にどうなってほしいかを一文にします。
  2. 対象を絞る:ステークホルダーの中から、今回の対象を1〜2種類に絞ります。
  3. 伝える題材を棚卸しする:新サービス、導入実績、社員の取り組み、地域への貢献など、第三者にも価値がある話題を書き出します。
  4. 手法と頻度を決める:対象が情報を探す場所に合わせて手法を選び、無理なく続く頻度で年間の発信カレンダーにします。
  5. 測定して見直す:決めた指標を定期的に確認し、反応が良かった題材と手法に寄せていきます。

特に重要なのは1つ目です。目的が決まっていないと、手法を選ぶ基準も、効果を測る指標も決められません。最初に目的を言葉にできるかどうかが、その後の迷いの量を決めます。

題材の棚卸しでは、社内では当たり前になっている強みが見落とされます。取引先から評価されている点や、顧客から繰り返し聞かれる質問を手がかりにすると、社外に伝える価値のある話題が見つかります。

企業PRの効果はどう測ればよいか

企業PRの効果は、目的ごとに指標を決め、掲載数、指名検索、問い合わせ経路などを定期的に確認して測ります。

PRは売上に直結しにくいため、売上だけで評価すると「効果がない」と誤解されがちです。目的に対応した中間指標を先に決めておきます。

目的 見る指標 確認方法の例
認知を広げる メディア掲載数、自社名での検索数の推移 掲載の記録、Google Search Console
信頼を高める 問い合わせ時の言及、商談での反応、取引先からの紹介 営業担当へのヒアリング
採用を強化する 採用ページの閲覧数、応募の流入元 アクセス解析、応募者アンケート
理解を深める 記事やプレスリリースの閲覧数、滞在の状況 アクセス解析

指標を決めたら、毎月または四半期に同じ日付で記録します。数値が動いた月に何を発信したかを並べて見ると、効いた題材が分かります。

企業PRで中小企業がつまずきやすい点は何か

つまずきやすいのは、目的が曖昧なまま手法から入ること、単発で終わること、広告を広告と分からない形で出すことの3点です。

目的が決まらないまま手法から入る

「競合がSNSを始めたから」「プレスリリースを出してみたい」と手法から始めると、何を持って成功とするか決められません。担当者が変わると方針も変わり、発信が止まります。

単発で終わり、担当者の頭の中だけで動く

1本のプレスリリースで大きな反応が出ることは多くありません。信頼は積み重ねで育つため、年間の計画に落とし込み、題材の記録や記者とのやり取りを共有できる形で残しておくことが大切です。

広告であることが分からない形で出してしまう

企業が対価を払って依頼した記事や投稿を、広告と明示せずに出すことは、景品表示法違反になりえます。消費者庁は、2023年10月1日からステルスマーケティングが景品表示法違反となると案内しています。

規制の対象になるのは、商品やサービスを供給する事業者、つまり広告主です。外部の記事や投稿を活用する場合は、広告である旨を明瞭に表示します。

参照:消費者庁「ステルスマーケティングは景品表示法違反です」(2026年10月時点)

企業PRは自社で行うか外部に任せるか

題材の発掘と最終判断は自社が担い、専門性が必要な作業から外部に任せると、企業PRを無理なく続けられます。

外部に任せるかどうかは、費用の大小より、社内で続けられる体制があるかで決めます。自社の強みを知っているのは社内の人間なので、題材づくりまで外部任せにすると内容が薄くなります。

業務 自社が向く場合 外部が向く場合
目的と方針の決定 常に自社が決める 整理の壁打ち相手として相談する
題材の発掘 現場の話を知る担当者が行う インタビューで引き出す支援を受ける
プレスリリースの作成と配信 書き慣れた担当者がいる場合 文章の質や配信先の選定に不安がある場合
記事・サイトの制作 週次で更新できる体制がある場合 継続して書く人員が足りない場合
効果の測定と改善 アクセス解析を読める場合 指標設計や分析に不慣れな場合

社内に広報の担当者がいない場合は、まず方針づくりと指標設計だけを外部に相談し、実作業は段階的に増やす方法もあります。外部に任せる際の費用の見方や選び方は、別の記事で詳しく解説しています。

関連記事:広報代行のおすすめの選び方とは?費用相場と依頼前の注意点

よくある質問

企業PRについて、関連検索でよく見られる疑問に答えます。

Q. 企業PRと広報の違いは何ですか?

A. 実務ではほぼ同じ意味で使われ、厳密に区別しない立場が一般的です。PRは「Public Relations」の略で、広報と同義として扱われます。区別する場合は、PRを社会全体との関係づくり、広報を自社が主体となる情報発信と捉える整理もあります。

Q. 企業PRと商品PRの違いは何ですか?

A. 企業PRは会社の魅力を伝え、商品PRは個別の商品の魅力を伝える活動です。商品PRは企業PRの一部にあたります。会社への信頼が高いほど、個別の商品も検討されやすくなります。

Q. 企業PRの手法にはどんなものがありますか?

A. プレスリリース、自社サイト、SNS、動画、イベントなどがあります。オンラインとオフラインに分けて考えられます。中小企業は目的と対象に合う1〜2種類に絞って始めるのが現実的です。

Q. 中小企業でも企業PRは必要ですか?

A. 必要です。小さな会社ほど、信頼が取引や採用の判断材料になりやすいためです。大がかりな施策は不要で、自社サイトでの実績公開やプレスリリースなど、続けられる範囲から始められます。

Q. 企業PRの効果はどう測ればよいですか?

A. 目的ごとに指標を決めて測ります。売上だけで評価しないことが大切です。認知なら掲載数や自社名での検索数、採用なら採用ページの閲覧数や応募の流入元など、目的に対応した指標を定期的に確認します。

まとめ

企業PRの要点を整理します。

  • 企業PRは、信頼関係を築くための活動で、売上を直接つくる宣伝とは役割が違います。
  • 広報とPRは実務ではほぼ同じ意味で、広告は掲載枠を買って自社が内容を決める点で異なります。
  • 手法はプレスリリース、自社サイト、SNS、動画、イベントなどから、目的と対象に合う1〜2種類で始めます。
  • 進め方は、目的、対象、題材、手法、測定の順に決めます。
  • 広告を広告と明示しない発信は景品表示法違反になりえるため、表示に注意します。
  • 題材の発掘と最終判断は自社が担い、専門性が必要な作業から外部に相談します。

企業PRの目的整理や手法の選び方でお困りの場合は、お問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。